RSR Stove開発の背景

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私の趣味は源流でのフライフィッシングです。

ベースキャンプとなる場所までバックパックを担いで出かけ、そこを幕営拠点にして釣り歩くスタイルが基本形です。
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出来るだけ釣りに没頭したいので、朝食を摂ったら夕方までベースキャンプには戻らず釣り歩きます。よって昼食は釣りの合間に川原で摂ることになります。
ベースキャンプを出る時、私は大きなバックパックは持たずフィッシングベストを愛用しています、ベストの前面のポケットには頻繁に取り出す必要があるフライフィッシングの様々な道具を収納し、給湯用のクッカー(鍋)は背面のポケットに入れています。

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フィッシングベストの背面ポケットはマチが小さいので、薄いタイプのチタン製のウルトラライトクッカーと、その中に真鍮製アルコールストーブ、十字ゴトク、ライター、折畳み式カトラリを入れて持ち歩いていました。
ガスストーブは一回の昼食のためだけであっても小さく(薄く)軽くすることが出来ない仕組みなので、そもそも選択肢にはありませんでした。

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私はその日も一人源流に出かけました。
シーズン初頭の源流は気温も低く渓筋には日も差し込まず寒いため、昼食時には湯を沸かして暖かい物を食べる事にしました。 真鍮製アルコールストーブをクッカーから取り出し、地面に置いて十字ゴトクを載せ火を付けましたが、なかなか湯が湧きません。長年真鍮製アルコールストーブを使っていましたがそんなことは初めての経験だったので結構焦りました。時間はかかるし、燃料は減って行くし。。。

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その時は理由が判りませんでしたが、熱の再循環が上手く行ってなかったためだと後に知りました。 アルコールで満たされた燃料槽の種火が真鍮製の筺体を温めるのですが、外気温が低いために濡れた地面に置いた筺体が熱を奪われ一向に火が大きくならなかったのです。火口と鍋底が近いのも原因だったと思われます。
真鍮製アルコールストーブを直接地面に置かずに、筺体が輻射熱で暖まるようなウインドシールドで囲えばもしかすると沸騰させることが出来たかもしれません。
しかし、ちょっとした条件の違いで湯が手に入らなくなってしまうことに少なからず衝撃を受け、アルコールストーブのスタンダードだと思っていた製品も完璧ではなく改善の余地がまだまだあるようだと気付きました。
その出来事がきっかけでアルコールストーブの自作に興味を持つようになったのです。

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