RSR Stoveについて

以下のコンテンツは2014/01/16にクラウドファンディングサイトCAMPFIRE でSUCCESSしたプロジェクトに準ずるものです。

アルコールストーブ は燃料用アルコールを使った携帯用のコンロです。軽量でシンプルな構造ゆえ故障が少なく、燃料用アルコールは僻地でも入手することが出来ることなどから世界中のハイカー、キャンパーの間に広く普及しています。
(燃料用アルコールは日本では薬局で購入が出来ます)

しかし、一般的にアルコールストーブは他の燃料を使ったストーブ(ブタン、プロパン、ガソリン)と比較し効率が悪いとされています。
確かにアルコールはガスやガソリンに比べ熱容量が小さいため火力が弱いことは事実ですが、改善の余地は多いのではないかと私は考えます。
何故なら、多くの市販品アルコールストーブは100年以上前に発明された構造のままで今でも生産が続いている生きた化石のような製品で、基本設計が古いためにアルコール燃料本来のパフォーマンスをフルに活用出来ていないと思うからです。
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アルコールストーブはガスやガソリンに比べて取り扱いが容易なため、空缶を使って自作をする方が世界中に沢山います。”Youtube”などでアルコールストーブを検索すると、空缶アルコールストーブが燃焼している様子を沢山見つけることが出来るでしょう。

空缶を使った自作派達は日々研究を重ね、競ってWEB上に新たな作品を発表しており、近年アルコール燃料とは思えないほど効率の良いストーブを開発するに至っています。その中でもCHS(Capillary Hoop Stove)※と呼ばれている毛細管現象を利用した仕組みのアルコールストーブの構造は、もはやアートの領域にまで昇華された感もあり、私は大きな可能性を感じました。

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しかし、空缶自作派が作る最先端のストーブを再現するためには高度な加工テクニックが必要です、初めて自作する人にとって敷居が高い感じは否めません。
そこで、私は空缶で自作を行わずとも高火力で安定的に燃焼する最先端のアルコールストーブを市場に提供したいと考え、このRSR Stoveを作りました。

RSR Stoveは空缶自作派の最先端の燃焼理論を基に、デザイン、試作を重ねアルミ合金の削り出しによって独特な形状を作り出し完成した製品です、市販されるアルコールストーブと比べてもトップクラスの高火力、燃焼効率と思われます。また、空缶アルコールストーブと比べ丈夫です。

※CHS  Capillary Hoop Stove 毛細管現象を利用し環状燃料気化室を持ったアルコールストーブの呼称 こちらのサイトに詳しい
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■製作の背景

profile
私の趣味は源流でのフライフィッシングです。

ベースキャンプとなる場所までバックパックを担いで出かけ、そこを幕営拠点にして釣り歩くスタイルが基本形です。
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出来るだけ釣りに没頭したいので、朝食を摂ったら夕方までベースキャンプには戻らず釣り歩きます。よって昼食は釣りの合間に川原で摂ることになります。
ベースキャンプを出る時、私は大きなバックパックは持たずフィッシングベストを愛用しています、ベストの前面のポケットには頻繁に取り出す必要があるフライフィッシングの様々な道具を収納し、給湯用のクッカー(鍋)は背面のポケットに入れています。

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フィッシングベストの背面ポケットはマチが小さいので、薄いタイプのチタン製のウルトラライトクッカーと、その中に真鍮製アルコールストーブ、十字ゴトク、ライター、折畳み式カトラリを入れて持ち歩いていました。
ガスストーブは一回の昼食のためだけであっても小さく(薄く)軽くすることが出来ない仕組みなので、そもそも選択肢にはありませんでした。

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私はその日も一人源流に出かけました。
シーズン初頭の源流は気温も低く渓筋には日も差し込まず寒いため、昼食時には湯を沸かして暖かい物を食べる事にしました。 真鍮製アルコールストーブをクッカーから取り出し、地面に置いて十字ゴトクを載せ火を付けましたが、なかなか湯が湧きません。長年真鍮製アルコールストーブを使っていましたがそんなことは初めての経験だったので結構焦りました。時間はかかるし、燃料は減って行くし。。。

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その時は理由が判りませんでしたが、熱の再循環が上手く行ってなかったためだと後に知りました。 アルコールで満たされた燃料槽の種火が真鍮製の筺体を温めるのですが、外気温が低いために濡れた地面に置いた筺体が熱を奪われ一向に火が大きくならなかったのです。火口と鍋底が近いのも原因だったと思われます。
真鍮製アルコールストーブを直接地面に置かずに、筺体が輻射熱で暖まるようなウインドシールドで囲えばもしかすると沸騰させることが出来たかもしれません。
しかし、ちょっとした条件の違いで湯が手に入らなくなってしまうことに少なからず衝撃を受け、アルコールストーブのスタンダードだと思っていた製品も完璧ではなく改善の余地がまだまだあるようだと気付きました。
その出来事がきっかけでアルコールストーブの自作に興味を持つようになったのです。

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■燃焼の仕組みと構造について

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毛細管現象
特殊な媒体(カーボンフェルト等)を使うことなく、アウター(容器)とインナーとの隙間で毛細管現象を作り出し素早く気化室に燃料を運んでいます。
狭い燃料気化室
狭い燃料気化室は、予燃焼を短縮させ、アルコール蒸気を勢い良く噴出させる効果があるため、高火力になります。
ブローバック路
高火力の加圧型アルコールストーブはアルコール蒸気の圧力が高くなりすぎると熱暴走を起こすことがありますが、RSR Stoveは気化室からバスタブ(燃料槽)につながるブローバック路によりアルコール蒸気を逃がす事ができますので熱暴走が起きにくく、戻ったアルコール蒸気が再液化するためエネルギー効率も良くなっています。
内炎式
炎が内向きにトルネード(うず巻状)燃焼する内炎式は、鍋底全体を素早く面加熱し、熱分布の向上により、燃料効率が向上します。

■特徴

削り出しによるソリッドなデザイン
一般的に量産されるアルコールストーブは金属板を型枠でプレスして作製しますが、RSR Stoveは金属を削り出して作られています。それによりエッジが立った独特の質感をもたらしています。
熱伝導率が良く、軽量で堅牢、精密な加工が可能なアルミ合金製
最先端の燃焼構造をシンプルなデザインで再現するためにはアルミ合金が最も優れた素材だと考えます。

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■参考データ
siken

RTV

使用クッカー:DUG HEAT-1
使用燃料: メタノール76.6% エタノール21.4% イソプロパノール0.3%
※着火からのタイム測定値