Capillary Hoop Stoveへの道1

アルコールストーブの最新系Capillary Hoop Stove(キャピラリ・フープ・ストーブ)に感動しアルミの削り出しで作ってみようと奮闘しています。一応、試作1号器は完成。 アウターは通常の53mm径のアルミ缶を利用、高さ28mm。インナーはリール製作時の端材のアルミ合金A6061を利用。 IMG_1928IMG_1941
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燃焼試験の結果: アルコール20mlで水温28°の水400mlを約4分半でほぼ沸騰させることが出来た、 その後6分13秒で燃料切れによる鎮火。
火器としての性能はまぁまぁ、しかしCapillary Hoop Stoveの魅力であるJet孔からの噴射までの時間が35秒以上かかっているので満足できる結果ではない。
当初よりCapillary Hoop Stove開発者のtetkさんやJSBさんよりHoop(燃焼室)周りの質量を可能な限り小さくすることが必要との指摘を受けていたが達成できていないためだ。
(開発者のtetkさんの定義によるとJet孔からの噴射までの時間は10秒以内)

アウターにアルミ缶を使っている関係で、インナーのボトムをすぼまった形状に切削する必要があり、中繰りが難しく手持ちの中繰りバイト(旋盤でトンネル状の中を削るために使われる特殊な形状の刃物)ではインナーの壁を薄くすることが出来なかった。 悪あがきとしてフライス盤でインナー内壁に3段のスリットを設けてみた。見かけはレシプロエンジンのピストンリングを連想させるデザインで良い感じに仕上がったが性能に及ぼす効果は極僅か。

インナー外側にはCapillary Hoop Stoveでクリース(折り目)と呼ばれる部位を幅2mmほどの溝で再現した。Capillary (毛細管現象)はてっきりこのクリースで実現しているのだと思い、溝の深さはどの程度が適当か予めテストしてみたのだが、それはまったくの見当はずれ。
アルコールは溝を登って行くわけではなくアルミのインナーとアウターがピッタリとくっついた部分を一気に這って行った。 つまり、壁伝いに這って登るアルコールがHoop(環状の気化室)で気化し、Jet孔から吹き出し燃焼するのだが、気化蒸気が燃焼によって消費される速度を上回ってしまうとHoop内の圧力が高まりクリースを逆流して燃料室にブローバックするという仕組みのようだ。JSBさんが言っていたブローバックというのはこのことだったのか。

試作1号器で判ったことを踏まえて2号器のデザインを開始しよう。

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Capillary Hoop Stoveへの道1 への5件のフィードバック

  1. JSB のコメント:

    CHS(tetkさんの命名です、笑)においては
    アルコールの気化特性を活かしてフープ(乾いた天輪)に
    給油と同時に、毛細管現象で上昇させて貯めます。
    空のやかんを火にかけると、直ぐに高温になりますよね。
    あれを応用し、フープに貯まった僅かな量のアルコール蒸気を加熱させるために、バスタブ燃焼の弱火が最適(笑)
    熱容量を極小にすることで2秒以内の噴射開始となる。
    定常燃焼時→密閉キャップを省略しても連続噴射のためには、過剰量の蒸気がいつも必要となります。余りを下へ
    ブローさせて戻しています。例えると、口笛を吹きながら
    数倍量の屁を連続的にぶっ放している状況です(爆)
    高い気温、液量少し、などの場面で→軽い爆沸や炎のリフトなどが発生しています。これは、この仕組みの仕様です。
    フープ内では激しいリップルを伴いながら噴射しているのです。気化路が細いと、押し返されてしまうほど屁は強い♪
    起動と定常燃焼では、まったく機能が異なっています。
    400ml給湯を4分半。素晴らしいです。
    私も以前は機械屋。写真に魅入ってしまいました。
    まだまだ分からないことが多い自分です、どうぞよろしく!

    • riversiderambler のコメント:

      JSBさん コメントいただき有難うございます。
      おかげでCHSの大凡の動作が少し掴めてきました、今後は起動と定常燃焼の機能の違いをどのように構造に反映できるか色々と試してみたいと思っています。
      起動においてはフープ周りの熱容量(アルミの質量)を最小にすることと、バスタブ燃焼より効率よく熱を吸収するための仕組みとして、
      例えば縦長のフープにしてバスタブ側面を広く取ることや、液面の高さとフープの位置関係など。
      また、定常燃焼においてはブローバック気化路の最適な太さ、毛細管現象を起こす壁面の大きさ、jet孔の大きさや数などの変数の値。

      私も、CHSはシンプルな構造で最良の効率をもたらすことが可能な仕組みだと思いますので、これをDIYで広げることと同時に、一定のレヴェルの製品化をすることで利用者の裾野を広げたいと思っています。MOMAのコレクションにすることを最終目標とする、という考えにも感銘を受けました。そのくらいの大きな目標を掲げる方が事を進めるにおいてブレないのだと思います。

  2. JSB のコメント:

    想像するだけですが、、上昇と下降は別腹という手法も
    面白いと思います。つまり気化は細い路が適するし
    熱い多量の蒸気が舞い降りるには
    有る意味で、ガバガバが良いのかも(笑)
    、、、、、、、、、、、、、、、
    これを探究している理由の裏事情に
    、ガスストーブの液出し、という
    極寒時でもガス火を楽しもう!というお遊びがあるんです
    この気化器の動態を完全解明すると、その先に
    -20度でも直ぐに加熱可能なストーブ 実現となる(爆)
    今でもメーカー品、ソコソコの動作はしていますけどね

    • riversiderambler のコメント:

      JSBさん
      実は私も上昇と下降のために2つの経路を設けてみてはどうかと考えていました。
      定常燃焼に入った後は、壁面に挟まれて毛細管現象によってのみ燃料がフープに供給されるのではなく
      ある程度の隙間があってもアルコールは登って行くのではないかと思っています
      ですので、削り出しで作製するのあたっての気道(グルーブ)は浅い溝と深い溝の2つを用意しようと思っています。

      • JSB のコメント:

        挽いて創るCHS、期待しています。
        We’ll touch down to NY with CHS!
        アメリカンフットボールで、一気にゴールを狙うのが、敵の頭上の遥か上を飛んで行く ”ロングパス”
        正しい理論で加工技術を磨き上げて一緒に最高峰に到達しましょう!
          高い気温や少ない液量、最着火などの場面でhoop自体が高温になりすぎる傾向がある→ FREVO
        炎のリフト、軽い爆沸があります。
        故障や調整不良ではありません
        これはjet穴を拡大したり気化路の面積を減らすと無くなりますが
        ぼんやりしたランタン擬炎に没落。
        寒い時期で強風下のことを考慮して夏には、やや腕白気味の炎の設定としています。噴出開始時間と安定燃焼は相関関係です(痛) ULハイクでは、軽さは正義だそうです  400ml給湯可で、5g台を目指しています(笑)

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